鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、306人の男女を対象に「電車内で迷惑だなと思うこと」の調査を実施しました。
調査概要
調査対象者 :全国/男女/10~70代
調査期間 :2024年6月2日~3日
サンプル数 :306人
調査方法 :インターネット調査
TOPICS
- もっとも迷惑だと思われているのが「大声での会話」(53.9%)となった。半数以上の人が大声での会話を気にしているとわかった。
- 次いで「座席の座り方(詰めない・足を伸ばすなど)」(48.4%)、「配慮のない咳やくしゃみ」(48.0%)と続いた。
53.9%の人が「大声での会話」を迷惑に思うと回答
「次のうち電車内で『迷惑だな』と思うことはどれですか?(最大3つまで回答可)」という質問をおこなった。選択肢は以下の13つ。
・座席の座り方(詰めない・足を伸ばすなど)
・大声での会話
・荷物の持ち方・置き方
・スマホの使い方(混雑時の操作・音量など)
・配慮のない咳やくしゃみ
・扉付近の占拠
・優先席でのマナー違反
・ゴミ・ペットボトルの放置
・飲食のマナー違反(匂いの強い食事・過度の飲酒など)
・化粧をする
・香りが強い(香水・柔軟剤など)
・ペットの持ち込み方
・その他
もっとも迷惑だと思われているのが「大声での会話」(53.9%)で1位となった。半数以上の人が大声での会話を気にしているとわかった。2位は「座席の座り方(詰めない・足を伸ばすなど)」(48.4%)、3位は「配慮のない咳やくしゃみ」(48.0%)と続いた。
4位は「飲食のマナー違反(匂いの強い食事・過度の飲酒など)」で26.8%、5位は「ゴミの放置」で25.2%、6位は「香りが強い(香水・柔軟剤など)」で21.9%、7位は「荷物の持ち方・置き方」で21.6%となった。ここまでが20%以上の人が気にしている車内マナーとなる。
続いて8位は「扉付近の占拠」で15.7%、9位は「優先席でのマナー違反」で12.4%、10位は「スマホの使い方(混雑時の操作・音量など)」8.8%、11位は「化粧をする」で7.5%、12位は「ペットの持ち込み方」6.9%、最後に「その他」が2%となった。「その他」と回答した人の中には、「電車内での乗客トラブル」を挙げた人もいた。
電車の「迷惑行為」を紐解く3つのキーワード
今回の調査の「フリー回答」の部分を分析すると、次の3つのキーワードが浮かび上がってきた。
1・スペースの不適切な利用
座席の占有、足を伸ばす、荷物で場所を取る、扉付近を塞ぐといった行為は、他の乗客の着席やスムーズな乗降を妨げ、不満の大きな原因となる。
2・不衛生な行為
特にコロナ禍以降、「配慮のない咳やくしゃみ」への嫌悪感は顕著だ。飛沫や不潔感への懸念から、マスク着用や口を覆うなどのマナーが強く求められているようだ。車内での化粧やゴミの放置も同様に不快視されている。
3・音と匂い
大声での会話や、香水・柔軟剤、飲食物の強い匂いは、密閉された空間において、ストレスを感じる人が多い。
鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント
ニュースやSNSで度々話題にあがる「電車内での迷惑行為」。迷惑行為の根底には、「他者への配慮の欠如」と「公共の場であることの認識不足」が共通して挙げられるでしょう。今回の調査で1位になったのは「大声での会話」。移動するときくらい、静かに過ごしたいと思う人は多いものです。ほかにも、次いで「座席の座り方(詰めない・足を伸ばすなど)」も迷惑行為の原因。座席を広々と占有したり、大きな荷物を足元や隣の席に無造作に置いたりするなど、「詰めればもっと多くの人が座れるのに」と誰もが思うことです。3位の「配慮のない咳やくしゃみ」はコロナ禍を経て、大切なマナーとして位置付けられている印象です。ほかにも、周囲を顧みない化粧、飲食、ゴミの放置といった行為も、嫌われる行為。多くの人にストレスや不快感を与えていることがわかります。
これら迷惑行為の背景には「自分さえよければいい」という自己中心的な考えがあるのでしょう。しかし、公共の場である車内全体の雰囲気を悪化させて、多くの人が残念に感じてしまう結果となるのです。近年ではインバウンドの観光客も増え、乗客そのものが増加しています。だからこそ、どんな人でも気持ちよく利用できるようなマナーや、心配りが大切です。