鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、306人の男女を対象に「通勤通学の電車でイラッとすること」について調査。日々の通勤・通学で利用する電車内で不快な思いをした経験の有無を聞いた。
調査概要
調査対象者:全国/男女/10~70代
調査期間:2025年8月3日~5日
サンプル数:306人
調査方法:インターネット調査
TOPICS
- 通勤通学の電車でイラッとしたことが「ある」と回答した人は91.8%だった。
- 一方で、「ない」と回答した人は8.2%と、ごく少数だった。
- 「ある」と回答した人の理由は、「騒音」「パーソナルスペースの侵害」「マナー違反」がキーワードとなっている。
91.8%の人が、電車で「イラッ」とした経験あり
朝の満員電車や疲れて帰る夜の電車。日々の移動手段として欠かせない電車だが、乗り合わせた他人の行動にイラッとすることはないだろうか。
そこで今回は「通勤通学の電車でイラッとしたことはありますか?」という調査を行った。すると、「ある」と回答した人は91.8%にのぼり、ほぼすべての人が何らかの不快を感じた経験を持っていることがわかった。一方で、「ない」と回答した人は8.2%と極めて少なかった。
イラッとした理由は「騒音」や「パーソナルスペースの侵害」
「ある」と回答した人に、具体的な状況を聞いた。コメントを分析すると「騒音」「パーソナルスペースの侵害」「マナー違反」という3つのキーワードが浮かび上がってきた。
「通学で利用している学生の話し声がうるさくてイラっとしました」(男性/和歌山県/50代)
「イヤホンをしないでスマホで嵐の歌を大音量で再生しているおじさんがいた」(女性/神奈川県/50代)
「スマホを見ていて、スマホが人に刺さっていることに気づかない。カバンや傘が、人に当たっていることに気づかない」(女性/東京都/40代)
「隣の人がやたらと距離を詰めてくることがあって不愉快でした」(女性/埼玉県/30代)
「座りながら足を組んでいる人。その前のスペースのつり革が使用できない状態」(男性/東京都/30代)
「満員電車なのに、無理矢理乗車してくる」(男性/千葉県/30代)
他にも「臭い」「化粧」「飲食」といった意見も複数見られた。これらのコメントからは、多くの人が周囲への配慮を求めていることが読み取れる。
「イラッとしたことがない」と回答した人は8.2%
続いて、ごく少数である「ない」と回答した人のコメントを紹介する。
「特に問題ないから」(男性/岡山県/30代)
「やはり通勤・通学時間帯の車内は混み合うし、多少の不便やストレス・トラブルは仕方がないと思っている。そのためイラッとしたことは無い」(女性/香川県/20代)
「混雑は仕方ない」と割り切っている人も見られた。
鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント
今回の調査では、ほとんどの人が通勤通学の電車でイラッとした経験があるという、驚きの結果になりました。多くのコメントから共通して見られるのは、「周囲への配慮が欠けている」と感じる行動です。特に多かったのは、話し声や音漏れといった「騒音」の問題。そしてリュックや傘、身体が当たるなど、「パーソナルスペースの侵害」と言えるものです。
ここ数年「騒音」について不満が噴出するのは、「コロナ禍」がキーワードになるかもしれません。コロナ禍では、乗客が少なく、静かな車内環境を実現していました。それが思ったよりも快適だったのでしょう。コロナ禍を経て、人が増えると、「それまで静かだったのにうるさい」と、騒音に余計に敏感になってしまうのかもしれません。
また、スマホが登場してからというもの、動画やゲームに夢中になり、自分の世界に入りがちです。こうした自分の世界への没頭が周りへの配慮ができなくなる要因といえます。電車は公共の乗り物であることを忘れずに、ときどきスマホから目を離して、周りに気を配るのがベストですね。
快適な移動空間を維持するためには、一人ひとりの意識が何よりも大切です。個人の感じ方には差がありますが、他者への気遣いは公共交通機関を利用する上で不可欠な要素と言えるでしょう。