鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、285人の男女を対象に「電車内で自分でやっている対策」について聞きました。対策をしていると答えた人は、44.2%となりました。
調査概要
調査対象者 :全国/男女/10~70代
調査期間 :2022年3月5日~3月6日
サンプル数 :285人
調査方法 :インターネット調査
TOPICS
- 電車内の事件・事故に備えて、自分でやっている対策は「ある」と答えた人は44.2%。「ない」と答えた人は55.8%。
- 「ある」と答えた人に具体的な対策を聞くと、「不審者の確認」「逃げ道の確保」「痴漢冤罪対策」などが挙げられた。
- 「ない」と答えた人の中には、「事件や事故は防ぎようのないもので、どうしようもない」と答える人もいた。
電車でやっている対策がある人とない人、ほぼ真っ二つ
「電車内の事件・事故に備えて、自分でやっている対策はありますか?」という質問に対し、「ある」と答えた人は44.2%、「ない」と答えた人は55.8%。割合はほぼ真っ二つの結果となりました。
「ある」と答えた人に具体的な対策を聞くと、「周りにどういう人がいるか見ておく」(神奈川/40代/女性)、「非常用ボタンの位置確認」(栃木県/40代/女性)、「若い頃は安全ピンをカバンにしのばせてました。いざという時、刺そうと思った」(東京都/50代/女性)などが挙げられました。
「ない」と回答した理由は、「事件や事故は防ぎようのないもので、どうしようもない」(山口県/50代/男性)、「巻き込まれたら運が悪かったと思うしかない」(静岡県/30代/男性)などが挙げられました。
具体的にやっている対策は「不審者の確認」「逃げ道の確保」など
「電車内の事件・事故に備えて、自分でやっている対策」についてまとめると、多いものから「不審者の確認」「逃げ道の確保」「痴漢冤罪対策」などが挙げられました。
不審者の確認(28pt)については、「怪しいと感じた人からはすぐに離れる」(群馬県/30代/女性)、「少しでも違和感を感じる人や空気があったら車両を変える」(東京都/50代/女性)などが挙げられました。
続いて逃げ道の確保(18pt)については、「何かあった時にすぐに逃げられるように、ドア付近に乗車する」(埼玉県/20代/女性)、「出来るだけ隣の車両に近い席に座る」(鳥取県/40代/男性)などの声がありました。
男性の意見で多かったのが痴漢冤罪対策(11pt)。「痴漢に間違われないように必ず両手でつり革をつかむ」(福岡県/30代/男性)、「女性とは近づかないように心がけている」(愛知県/20代/男性)などの声がありました。
さらに事故防止で先頭車両を避ける(9pt)には「尼崎脱線事故が起こってからは、一番後ろの車両に乗っている」(兵庫県/40代/男性)、イヤホン調整(8pt)には「イヤホンは音量を下げ、周囲の音を把握できるようにする」(兵庫県/50代/女性)、痴漢対策(8pt)には「女性専用車両があれば、そこを選ぶ」(茨城県/30代/女性)などの声が挙がりました。
鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント
電車内での事件や事故を想定して、今回は乗客が自ら実践している安全対策を聞きました。やる人とやらない人、結果はほぼ半数に割れ、していない人がわずかに多い程度でした。車内に不審な人がいないか気をつけたり、何かあった時に逃げられるようする人が多くいました。また鉄道事故は一番前の車両が大きく被害が出るというイメージから、先頭車両には乗らないという声も多数。男性の意見で多かったのは、痴漢の冤罪対策です。冤罪はニュースでもよく聞かれ、余計な嫌疑をかけられたくないという思いから、両手を挙げるなど、潔白をアピールしながら乗車する姿勢がうかがえます。鉄道会社でも安全対策はじゅうぶんなされていますが、乗客自身も安全を意識しながら乗っていることがわかる調査でした。