鉄道調査レポート

夏の「弱冷房車」暑い日でも83.3%の人が「必要だ」と回答

鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、306人の男女を対象に「夏の弱冷房車」について調査した。暑い夏であっても、少し冷房が弱められている車両の必要性を聞いた。

調査概要

調査対象者 :全国/男女/10~70代
調査期間 :2024年6月2日~3日
サンプル数 :306人
調査方法 :インターネット調査

TOPICS

  • 弱冷房車が「必要だ」と回答した人は83.3%だった。8割を超える人が必要性を感じていることがわかった。
  • 一方で、弱冷房車が「必要ない」と回答した人は16.7%で、2割に満たなかった。
  • 「必要だ」と回答した人は、理由に「冷え性」「体調不良」などのキーワード、「必要ない」と回答した人は、「暑がり」「猛暑」などのキーワードをそれぞれ挙げた。

弱冷房車が「必要だ」と回答した人は83.3%

暑い日本の夏、たいていの鉄道車両では冷房を効かせている。そのなかで首都圏を走る電車の多くでは、冷房が弱められている「弱冷房車」が設定されている。しかし近年、日本の夏が暑すぎるあまり、「弱冷房車はいらない」という声がチラホラ聞かれるようになった。

そこで今回は「夏の『弱冷房車』は必要だと思いますか?」という調査をした。すると「必要だ」と回答したのは83.3%と、8割を超える人が必要性を感じていることがわかった。一方で「必要ない」と回答した人は16.7%で、少数派だった。

必要だと思う人「冷風に当たりたくない乗客もいる」

弱冷房車を「必要だ」と回答した人に理由を聞いた。キーワードを抽出すると「冷え性」「体調不良」「温度差」「節電」の4つが浮かび上がってきた。

「冷え性で、冷房が本当に寒いと思う時がある」(女性/奈良県/40代)

「冷房が苦手な人や病気であまり体を冷やしてはいけない人、妊婦さんのために必要だと思う」(女性/奈良県/40代)

「人によって、温度の感じ方は異なるから」(女性/福島県/40代)

「女性や体調不良で冷たい風に当たりたくない乗客もいるので、すべてを強い冷房にする必要はない」(男性/神奈川県/50代)

「冷房による温度差で知らないうちに体にダメージを受けている人が多そう。節電にもなるのでよいと思う」(女性/宮城県/40代)などの声が挙がった。

必要ないと思う人「冷房が効いてないとつらい」

続いて、少数派である「必要ない」と回答した人のコメントを紹介する。キーワードを抽出すると、「暑がり」「温度管理」「猛暑」「対策」の4つが浮かび上がってきた。

「寒がりなら羽織るものを準備すればいい。暑がりなら電車の中で服は脱げない」(男性/兵庫県/50代)

「暑い日に電車に乗って、弱冷房車でとても残念だと思ったことがあったから」(女性/宮城県/40代)

「猛暑が予想されるので冷房は効かせてほしい」(男性/神奈川県/40代)

「朝のラッシュ時、冷房が効いてないとつらい」(男性/兵庫県/50代)などの声が挙がった。

鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント

快適な車内環境を提供するため、多くの鉄道会社では車内で冷房を作動させています。その中で、冷房をちょっと弱めている車両が「弱冷房車」です。

弱冷房車のそもそもの始まりは、女性客を中心に「冷房が効きすぎで寒い」という声が挙がったこと。人によっては冷房が苦手な人もいますから、そうした人に配慮して導入が始まりました。弱冷房車は、多くの会社が温度を27または28度に設定しています。これは通常の冷房車より2度高い温度だそうです。

しかしながら、ここ数年の猛暑で気温が35度を超える日には「弱冷房車はいらない」という嘆きの声がSNSに見られるようになりました。暑い日に、涼しさを期待して電車に乗ったら、弱冷房車でモワッとして悲しくなった。なんてがっかりした経験を持つ人も多いでしょう。かくいう私も「もう、弱冷房車なんてなくなってしまえ」と心で叫んだことがあります。

果たして弱冷房車はかくも嫌われ、不要な存在なのか。実際にアンケートを取ったところ、弱冷房車を「必要ない」と考える人は少数派でした。コメントの多くは「暑いけど、弱冷房車が必要な人もいる」という、他の人に配慮するコメントが多く見られました。お互いを思いやるやさしい気持ちを感じる調査でした。

弱冷房車に乗りたい人も、乗りたくない人も、ホームの表示を確かめてから電車に乗りたいものです。

鉄道トレンド総研について

鉄道トレンド総研は、鉄道トレンド関する研究や調査の実施する調査機関です。鉄道にまつわる市場の現状と未来を分析し、社会へ発信する事を目的として、鉄道コラムニスト・東香名子が立ち上げました。利用客に密着した鉄道トレンドについて多数のジャンルで情報を発信していくことにより、公共交通機関としてだけでなく、エンタメ・カルチャーとしての鉄道を盛り上げ、鉄道業界および社会へ貢献してまいります。

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  • この記事を書いた人

東 香名子

鉄道コラムニスト。乗り鉄で、国内鉄道15000キロ以上を走破。鉄道トレンドを扱ったコラムを執筆し、文春オンライン、東洋経済オンライン、プレジデントオンライン、現代ビジネスで軒並み閲覧数1位を獲得するなど、女性目線から発信する鉄道記事に支持が集まる。山手線に詳しいライターとしてフジテレビ『クイズ99人の壁』などに出演するなど、各メディアで活躍。著書に『超Webライティング大全』『100倍クリックされる超Webライティング』シリーズ。

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