鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、258人の男女を対象に調査を実施しました。鉄道を利用する際、よく乗車する車両について「あなたはどの車両に乗りますか?」とアンケートを行いました。
調査概要
調査対象者 :全国/男女/20~60代
調査期間 :2021年11月25~11月26日
サンプル数 :258人
調査方法 :インターネット調査
TOPICS
- 降りる駅の出口の近くの車両に乗る人が44.2%と一番多いと回答。理由のほとんどが、「移動時間の短縮」。
- 一番前の車両に乗る人は12.4%と最も少ない。
- 一番前と後ろの車両に乗る人のうち、57.4%が「混雑していないから」。
- 一番後ろの車両に乗る人のうち、22.2%が「鉄道事故のリスクに備えて」。
どの車両に乗りますか
「あなたはどの車両に乗りますか」という問いに対して、「降りる駅の出口の近くの車両」が44.2%と最も多く回答しました。続いて、29.5%が「乗る駅の改札・階段の近くの車両」、14.0%が「一番後ろの車両」とし、「一番前の車両」は12.4%にとどまりました。
車両選択のおもな理由
「降りる駅の出口近くの車両」と答えた人のおもな理由は、「すぐに移動できるから」「歩く距離が短くて楽」など、移動時間や距離を短縮することを目的としたり、「車両から降りた人で混雑し、階段やエスカレーターで並びたくないため」と混雑回避を目的とする声があった。また「ホームではあまり移動したくない」と安全面を考慮する声も寄せられた。
「降りる駅の出口近くの車両」と答えた人のおもな理由は、「すぐに電車に乗れるので」「最短距離で乗れるから」など、電車に乗るまでの時間や距離を考慮した声が多かった。また「時間ギリギリに駅に着くことが多いから」という声もあり、時間がない現代人の生活が浮きぼりになった。
「一番前の車両」と答えた人のおもな理由は、「比較的空いている」ことを理由に挙げ、混雑を回避する目的があることが分かった。また1両目ならではの楽しみを上げる人もおり「運転している姿を見ることができるから」「前方に広がる景色を見るのが好き」「窓が大きく、開放感がある」という声も寄せられた。
「一番後ろの車両」と答えた人のおもな理由は、一番前の車両同様、「比較的空いている」という声が多数あがった。一番前の車両と一番後ろの車両と回答した人の中で、混雑回避を目的をした人は57.4%に上り、期待値の高さがうかがえる。
また「一番後ろの車両」と答えた人のうち22.2%は、万が一の鉄道事故に備えたもので、「電車が正面から事故をした場合に、できるだけ後方のほうが災難に遭う可能性が低い」などの声が寄せられた。
また兵庫県在住40代男性は、2005年に乗客106人が死亡したJR福知山線(宝塚線)脱線事故の模様をあげ、「自分はこの列車に乗っていなかったが、利用していた。事故以来、前の車両に乗るのが怖くなったので、一番後ろの車両に乗っている」と回答し、16年がたった今もなお痛ましい事故により車両選びの選択に影響を与えていることがわかった。
鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント
忙しい現代人たちは、列車を降りたあとの移動効率を考えて、出口に近い車両に乗る人が多いとわかりました。首都圏の地下鉄をはじめ、駅ホームに電車の乗車位置(号車・ドアの位置)を案内する掲示物が貼られ、より効率よく移動できるように鉄道会社も工夫しており、それも一役買っているのかもしれません。また、一番前と後ろの車両は「空いている」というイメージがあり、ゆったり乗車したい人に支持を得ていました。さらに、時おり起こる鉄道事故も車両選択に影響を与えており、「後ろなら安全」という考え方が乗客たちに浸透していることもわかりました。