鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、285人の男女を対象に「安心できる鉄道会社の取り組み(複数回答可)」について聞きました。電車内の物騒な出来事に備えてどうすれば安心できるのか、乗客の本音が浮かび上がってきました。
調査概要
調査対象者 :全国/男女/10~70代
調査期間 :2022年3月5日~3月6日
サンプル数 :285人
調査方法 :インターネット調査
TOPICS
- 乗車するときに安心できる鉄道会社の取り組みで、もっとも安心できるのは、防犯カメラの設置で82.8%。次に、警備員の巡回(70.9%)、非常ボタンの設置(62.8%)と続いた。
- 安全に関するアナウンス(21.8%)と、安全に関するポスターの掲示(10.5%)は得票率が低かった。
- その他、希望する安全対策として「簡単な身体チェック」「直接通報できる電話設置」などが挙げられた。
「防犯カメラがあると安心できる」と答えたのは82.8%
今回は、防犯カメラ設置、警備員の巡回、安全に関するアナウンス、安全に関するポスターの掲示、非常ボタン設置、その他のうち、「乗車するときに安心できる鉄道会社の取り組みを教えてください。」(複数選択可)という質問を行いました。
結果、最も多かったのが「防犯カメラ設置」で82.8%を獲得した。理由として、「防犯カメラがあれば、映像証拠として残るから」(埼玉県/20代/女性)、「防犯カメラがあることによって犯罪の抑止につながる」(神奈川県/20代/女性)などが挙げられた。
次に多かったのが「警備員の巡回」で70.9%だった。「警備員の巡回があれば何か起きた時でも安心できる」(東京都/20代/男性)、「犯罪者に対してプレッシャーをかける事ができる」(千葉県/40代 男性)などの声が挙がった。
続いて多かったのが「非常ボタン設置」で62.8%。理由として「もしものときに誰かに知らせることができる」(神奈川県/50代/男性)、「非常ボタンは、助けの声が挙げられない場合に役立ちそう」(岡山県/40代/女性)などの声が挙がった。
アナウンスとポスターは、安心を感じづらい?
安全に関するアナウンス(21.8%)と、安全に関するポスターの掲示(10.5%)は得票率が低かった。
「ポスターで程度でいい」(神奈川県/40代/女性)というコメントがある一方で、「アナウンスやポスターは常識のある人には通じるが、もともと非常識な人には効果がない」(東京都/40代/男性)、「アナウンスやポスターはほとんど意味がない。危険な人間には何を言っても無駄で、周囲も見て見ぬふりをする。警備員、非常ボタン設置など、相手を力でねじ伏せることを前提とした対処が必要」(埼玉県/50代/男性)など、鋭いコメントが集まった。
「その他」を選んだ人のコメントには、「簡単な身体チェックも自動でできればよい」(大分県/40代/男性)、「スマホだと咄嗟の対応ができないので、車掌や鉄道管理者に助けを求める電話を付けてほしい」(愛知県/40代/女性)、「金属探知機などで刃物や危険物を持ち込めないようする」(鳥取県/40代/男性)など、さらなるアイデアを挙げる人もいいた。
鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント
列車内の物騒な事件が続くなかで、今回は鉄道会社の安全への取り組みについて聞きました。安心できる材料として多かったのが「防犯カメラ」。時代の流れを受けてか、新たに導入される車両には、防犯カメラが搭載されているものが多いのが現状です。さらに「警備員の巡回」も乗客には安心材料として捉えられています。都心の混雑する通勤列車ではまだ実現されていませんが、新幹線や特急列車など、長距離を走る列車では導入が進んでいます。カメラと警備員は「人の目があるだけで抑止効果は高まる」とコメントした人が多かったです。逆に、効果がないと感じられているのが、安全を呼びかけるポスターやアナウンス。凄惨な事件やトラブルを目の当たりにすると、「これだけでは足りない」と思う人が多いことがわかりました。