鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、302人の男女を対象に調査を実施しました。大手私鉄(日本民営鉄道協会に加盟している大手民鉄16社)のうち、どの程度知られているのか知名度調査を行いました。
調査概要
調査対象者 :全国/男女/10~70代
調査期間 :2023年7月23日~24日
サンプル数 :302人
調査方法 :インターネット調査
TOPICS
- 大手私鉄の中で、もっとも知名度が高いのは「東京メトロ」(88.1%)となった。次いで「小田急」(85.1%)、「西武」(78.9%)と続いた。
- 大手私鉄の中で、もっとも知名度が低いのは「相鉄」(35.3%)となった。次いで「西鉄」(44.6%)、「南海」(55.8%)と続いた。
- 前回調査(2021年)では、1位は小田急、2位は東京メトロ、3位は西武だった。今回調査では、東京メトロが小田急の知名度を抜いた。
あなたが知っている大手私鉄はどれですか
「次の大手私鉄のうち、あなたが知っている(見たこと・聞いたことがある)鉄道会社をすべて選んでください。(複数選択可)」という質問に対し、知名度1位で最も多く回答があったのは「東京メトロ(東京地下鉄株式会社)」で、88.1%の人が「知っている」と答えた。東京都台東区に本社を置く東京メトロは、銀座線、日比谷線などの地下鉄を9路線運営する。首都圏在住者だけでなく、全国的に広く知名度を獲得していることがわかった。
知名度2位となったのは「小田急(小田急電鉄株式会社)」で、85.1%の人が「知っている」と答えた。東京都新宿区に本社を置く小田急は、新宿(東京都)を起点に小田原(神奈川県)までを結ぶ小田原線、湘南エリアに至る江ノ島線などを運行。都心から箱根エリアへ乗客を運ぶ「特急ロマンスカー」は人気が高く、白い車体で人気を博したVSEシリーズは昨年引退し、話題になった。
知名度3位となったのは、「西武(西武鉄道株式会社)」で、78.9%の人が「知っている」と回答した。埼玉県所沢市に本社を置く西武は、池袋(東京都)から飯能(埼玉県)を経て吾野(埼玉県)を結ぶ池袋線や、西武新宿(東京都)から本川越(埼玉県)を結ぶ新宿線などを運営。地下鉄有楽町線や副都心線、東急東横線、みなとみらい線とも直通し、幅広い知名度を獲得している。
知名度4位は「東急(東急電鉄株式会社)」で76.6%。昨年度の7位から大きく順位を上げる結果となった。5位は「近鉄(近畿日本鉄道株式会社)」で75.9%、6位は「阪急(阪急電鉄株式会社)」で75.6%、7位は「東武(東武鉄道株式会社)」で73.3%、8位は「京王(京王電鉄株式会社)」で71.3%、9位は「京急(京浜急行電鉄株式会社)」で67.7%、10位は「名鉄(名古屋鉄道株式会社)で66.3%だった。以上が知名度トップ10となる。
続いて11位は「阪神(阪神電気鉄道株式会社)」で65.7%、12位は「京阪(京阪電気鉄道株式会社)」で60.7%、13位は「京成(京成電鉄株式会社)」で57.4%、14位は「南海(南海電気鉄道株式会社)」で55.8%、15位は「西鉄(西日本鉄道株式会社)」で44.6%。最も知名度が低かったのは、「相鉄(相模鉄道株式会社)」35.3%という結果となった。ただし相鉄は前回調査(33.3%)よりも、知名度は2ポイントほど上昇している。
なお「大手私鉄16社をすべて知っている」とした人は14.9%だった。
鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント
鉄道トレンド総研が実施した、第2回目の知名度調査(第1回は2021年)。1位は「東京メトロ」で初の知名度覇者に。脅威の88.1%と、9割近い知名度を誇るのは「お見事!」という一言に尽きます。首都圏に住んでいる人はもちろん、観光客にとっても欠かせない路線で、近年は訪日観光客の姿も増えており、世界的にも認知度が高まっていると予想できます。「通勤で使うので親近感」「東京メトロのCMが好き」という声もありました。東京メトロは現行路線にとどまらず、有楽町線や南北線の延伸計画も抱えています。未来に向けて、今だ進化し続ける東京メトロに期待がかかります。
トップの座を明け渡した2位は「小田急」で、85.1%を誇る知名度は依然として高いです。世界一利用者の多いJR新宿駅から乗り換え可能とあって、乗ったことがなくても、表示を見かけたことのある人は多いでしょう。「いきものがかりの曲の歌詞で出てきたのが印象に残っている」という声もありました。3位は西武、4位は前回7位からのジャンプアップ・東急と、TOP4は関東の私鉄が並びます。西日本エリアで知名度トップとなったのは5位「近鉄」。前回同率の知名度だった阪急に0.3ポイントと、わずかな差をつけて関西王者に君臨しました。
残念ながら前回に続きワースト1となったのは、神奈川県に本社を置く「相鉄」。最下位ですが、知名度は前回比2ポイントほど上昇。2019年にはJRと、2023年には東急と直通し、より都心へのアクセスが便利になった相鉄。都心の駅でも、アナウンスで「相鉄」という言葉がより聞かれるようになり、知名度が上がってきていると見られます。
私鉄は、その会社ごとに個性的な車両や路線も多く、楽しみ方もさまざまです。その土地ならではの私鉄に乗って、雰囲気を味わうのも一つの醍醐味ですね。