鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、258人の男女を対象に調査を実施しました。鉄道を利用する際「特に急いでいなくても、発車しそうな列車に飛び乗ることはありますか?」とアンケートを行いました。
調査概要
調査対象者:全国/男女/20~60代
調査期間:2021年11月25~11月26日
サンプル数:258人
調査方法:インターネット調査
TOPICS
- 「ほとんどない」と回答した人が45.9%と最も多く、「たまにある」(29.5%)、「よくある」(24.6%)と続く。
- 「よくある」「たまにある」を合わせると54.9%で、2人に1人の割合で経験がある。
- 駆け込みをしない理由は、危険だから」(53.7%)、「人の目が気になる」(12.4%)など。
- 駆け込みのおもな理由は、移動時間の効率化、待ち時間の忌避、など。
列車に飛び乗ることはありますか?
「特に急いでいなくても、発車しそうな列車に飛び乗ることはありますか?」という問いに対して、「ほとんどない」が45.9%と最も多く回答しました。続いて、29.5%が「たまにある」、24.6%が「よくある」と回答しました。
駆け込み乗車の意外な理由とは
「よくある」と答えた人のおもな理由は、「次の電車を待つ時間が無駄」「少しでも早く目的地に着きたい」など、移動時間の短縮をあげるものが多かった。また「自分はせっかちなので」と性格を理由に挙げる人や、「なんとなく焦燥感を感じる」と電車がホームにいるときの独特の心情を吐露する人もいた。
「たまにある」と答えた人のおもな理由は、「次の電車を待ちたくない」をはじめ、「季節によって、ホームで待つのは寒かったり暑かったりする」「なんとなく発車前の音に煽られる」などの声が寄せられた。また地域によっては次の列車まで時間が大きく空くために「列車の姿が見えたら走らざるを得ない」と、ダイヤを理由に挙げるものもあった。
駆け込まない理由に、安全性と「人の目」
「ほとんどない」と答えた人のおもな理由は、「危険だから」「急いで駆け込んで転んだ人を見たことがあるから」と安全を重視する声が最も多く(53.7%)、続いて「人の目が気になるから」といった理由も12.4%に上った。
「人の目が気になる」という理由を紐解くと、「駆け込み乗車をしている人は、うるさくて注目を浴びる」「発車間際にドアに挟まれている人がいた」など、駆け込み乗車をする人への視線を気にする人や、「急いでいるときに、駆け込み乗車で列車が遅延すると、本当に迷惑」など、他人にも迷惑がかかると考えることから、駆け込みを控えている人も多かった。なかには「アナウンスで駆け込みを注意されている人がいて、恥ずかしい人だと思った」という声もあった。
ほか駆け込みをしない理由は、「急ぐのが嫌い」などゆとりを大切にした人や、「過去に急いで電車に乗った時、行き先が違うことに気が付いた。それ以来、行き先をゆっくり確認してから乗るようにしている」という声もあった。
鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント
今回の調査で「駆け込み乗車は危険」という意識が乗客にしっかり根付いていると感じました。「駆け込まない理由」の中には「人の目が気になる」などがあり、恥の文化や周囲との調和を重んじる日本人らしい回答も見られます。また理由のコメントにもあったように、たとえば東京の地下鉄では、危険な駆け込み乗車を確認すると、その人に向けたような厳しめの車内アナウンスが流れます。「自分はこういう目に遭いたくない」と、駆け込み乗車の抑制につながっているのでしょう。それでも駆け込み乗車をする人には、徹底して時間効率化を図ったり、焦燥感を感じやすい人もおり、時間に追われる現代人の姿が浮き彫りになりました。