鉄道トレンドに関する研究や調査を行う機関「鉄道トレンド総研」は、285人の男女を対象に「座席のリクライニング」について聞きました。リクライニングを倒すとき、声をかけてほしいか、乗客の本音が垣間見える結果となりました。
調査概要
調査対象者 :全国/男女/10~70代
調査期間 :2022年3月5日~3月6日
サンプル数 :285人
調査方法 :インターネット調査
TOPICS
- リクライニングを倒すとき、「声をかけてほしい」と思う人は52.3%で過半数を超えた。「必要ない」と答えた人は38.2%となった。
- 自らがリクライニングを倒すとき、声をかけるか聞いたところ、53.0%の人が「声をかける」と回答。「声をかけない」と答えた人は32.3%となった。
- 「声をかけてほしい」「声をかける」と答えた人は、マナーやエチケットについて、またトラブル防止について言及する人が多かった。
リクライニング「声をかけてほしい」と言う人が半数超え
「前の人が座席のリクライニングを倒すとき、声をかけてほしいですか?」という質問に対し、「声をかけてほしい」と答えた人は52.3%、「声かけは必要ない」と答えた人は38.2%、「その他」と答えた人は9%となった。
「声をかけてほしい」と答えた人に理由を聞くと、「突然だと驚くし、けがを防ぎたいから」(京都府/40代/女性)、「マナーとして、一言はほしい」(鹿児島県/40代/男性)、「権利として認められているとは言え、自身のパーソナルスペースが侵されることになる」(東京都/40代/男性)などが挙げられました。
「必要ない」と答えた人に理由を聞くと、「そこまで気を遣わなくて良いと思う」(東京都/40代/男性)、「リクライニングとはそういうものだから」(山梨県/30代/男性)、「他人から声をかけられるのが億劫」(石川県/40代/女性)などが挙げられました。
「その他」と答えた人からは、「どちらもでよい」(神奈川県/30代/女性)、「少しなら気にならない。ただ、前の座席についてる机が倒せなくなるくらいに下げる時は一言ほしい」(兵庫県/30代/女性)という意見があった。
一方で、「声をかけない」という人は約3人に1人
「座席のリクライニングを倒すとき、後ろの人に声をかけますか?」という質問に対し、「声をかける」と答えた人は53.0%、「声をかけない」と答えた人は32.3%、「その他」と答えた人は14.7%となった。
「声をかける」と答えた人に理由を聞くと、「そうするのがマナーだから」(三重県/50代/男性)、「後ろの人に配慮したいから」(千葉県/30代/女性)、「コミュニケーションをとって誤解のないようにするため」(栃木県/40代/女性)などが挙げられました。
「声をかけない」と答えた人に理由を聞くと、「ゆっくり倒しているから問題ない」(埼玉県/40代/女性)、「自由に倒す権利があると思う」(愛知県/40代/男性)、「知らない人に声はかけづらい」(大阪府/40代/女性)などが挙げられました。
「その他」と答えた人からは、「そもそも自分はリクライニングを倒さない」(大阪府/30代/男性)、「アイコンタクトをしている」(千葉県/50代/女性)という意見があった。
車内トラブルの原因にも?
今回の調査では、多くの人がエチケットやマナー、車内トラブルに関することを言及し、トラブルに発展しそうな事態は避けたいとする本音がうかがえる。実際に、リクライニングで気分を害した人もいた。
- 「急に倒されたらムッとする」(鹿児島県/40代/女性)
- 「無言でリクライニングされると多少イラっとする」(愛知県/30代/女性)
- 「声を掛けずに少しだけ倒す。たまに後ろから舌打ちが聞こえることがあり、イラっとする」(大阪府/40代/男性)
また、「コロナ禍のご時世、少しでも会話や接触のリスクを減らしたい」(千葉県/40代/女性)と、感染症対策の面から言及する人もいた。
鉄道トレンド総研所長・東香名子の分析コメント
今回は、永遠のテーマである「リクライニング座席を倒すとき、声をかけるべきか」について調査をしました。結果、「声をかけてほしい」「声をかけている」人が、半数をわずかに超える結果に。意外と少ないと思った方、意外と多いと思った方、受け止め方は人それぞれだと思います。「車内マナー、エチケットの一環である」と答えた人は多く、礼節を重んじる日本人らしさがうかがえました。
リクライニングの声かけについて、鉄道会社はどう思っているのか。たとえばJR北海道は「リクライニングを使用する際には、急に倒すと、後ろのお客様が驚いてしまう場合や、深く倒すと圧迫感から、不快に感じるお客様がいらっしゃいます。後ろの方へ確認していただくようご協力をお願いします」とホームページに記載があります。